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【書評】史実を元に源為朝の一生を丁寧に描く一冊【朝嵐】

驚くべき弓術とその剛勇から「鎮西八郎」と謳われた源為朝。他の源家に比べて知名度が低いが、その一生に秘められたストーリー性は抜群。為朝の一生を丁寧に描いた一冊。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、矢野隆さんの「朝嵐」を紹介させていただきます。

目次

あらすじ

日本史上最強の武士は、平安時代にいた――。


「こやつは武士として使い物にならぬ」。その一言が男を怪物へと変貌させた。名を源八郎為朝。武士として生きるため、異常な弓の鍛錬を続けたこの男は、齢十二にして都の悪党達を支配。父に送りこまれた九州を十七歳で平定し、「鎮西八郎」と呼ばれ日本を震撼させた。やがて巻き起こった天下を二分する保元の乱。為朝の前に立ちはだかるのは平清盛、そして唯一彼が恐れた兄・源義朝であった。


前代未聞の弓撃歴史絵巻、刮目して見よ!

「朝嵐」の見所

源為朝を史実通りに描く一冊

✔︎ 源為義の八男。鎌倉幕府の祖である源頼朝は、源為義の長男である源義朝の子
✔︎ 身長2m10cmの強靭な肉体を誇り、剛弓使いで有名
✔︎ 16,17歳にて九州を平定し「鎮西八郎」を名乗る
✔︎ 保限の乱で敗者となり、伊豆大島に流される

本作の主人公である源為朝とはザックリまとめるとこんな人物となります。

歴史の授業で大きく取り上げられる人物ではないため、源氏の系統であれば、源頼朝や源義経に知名度は劣ります。また、同じ時代に生きた人物であれば、後白河法皇や平清盛などの平氏一門ほど有名ではないという人物です。

一方で、10代半ばにして九州を平定するほどの武勇を誇ったり、強靭な肉体を持ち、弓の名手としても有名であったり。加えて、各地には源為朝に関わる伝説が多々残っており、例えば初代琉球王の舜天は為朝の子供であったとか。

そこまで有名ではありませんが、主人公たるストーリー性を持った人物であることは間違いありません。

本作では、そんな為朝の一生を、5歳の幼少期から、伊豆大島に流されて没するところまでを丁寧に描きます。

ストーリー性のある人物で読み応えがある一生

読み終えた最初の印象は”面白かったけど、多分に脚色が含まれているのかな”といったところでした。

確かに読み応えはあり、名場面が随所に織り交ぜられているので、飽きずに読み進められます。

ただ、当時の人々からはかけ離れた巨体や強靭な力の持ち主である描かれ方。若干16,17歳で九州を平定するという驚きの武勇伝。驚異的な弓術。腕を抜かれて島流しにあうという逸話。

これらは一端ですが諸々総合すると、創作チックな印象を受けました。

とはいえ、為朝への前提知識がほぼない状態で読んだ私なので、読み終えてから為朝について情報収集をしたら反省の一言。

本作品は史実を丁寧に描いていながらも、為朝のストーリー性のある一生をドラマチックに描いており、非常に読み応えのある一冊でした。

弓術の戦闘シーンは迫力満載

時代小説の合戦シーンは、おおよそ刀であったり槍であることが多いです。

パッと思いつくのは、大阪の陣で徳川本陣に切り込む真田幸村であったり、川中島の戦いで武田信玄に挑む上杉謙信であったり。(これらの時代は戦国時代になるので、本作の時代とは離れてしまいますが、、)

そもそも弓が戦闘の花形として扱われることはなく、史実でも著名な弓使いがいないというのが現状で、弓術にフューチャーした作品があまりないというのが実態ではないでしょうか。

そんな中でも本作で繰り広げられる為朝の弓術は迫力満載であり、読者を惹きつける一因になっています。

本の基本情報

作品名:朝嵐
著者:矢野隆
出版社:中央公論新社
発売日:2019/4/19
ページ数:332ページ

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まとめ

矢野隆さんの「朝嵐」を紹介させていただきました。

為朝の生き様と弓術の戦闘シーンが魅力的な一冊です。

本記事もお読みいただき、ありがとうございました!

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