サウナと本で人生を和やかに

【書評】謀聖と呼ばれた男のルーツ【謀聖 尼子経久伝 青雲の章】

下剋上・謀聖、正に戦国の世を具現化した男・尼子経久。彼が目指した世とは一体なんだったのか。若かりし日の尼子経久を描くシリーズ第一作。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、武内涼さんの「謀聖 尼子経久伝 青雲の章」を紹介させていただきます。

目次

あらすじ

戦国初期に活躍した山陰の雄、尼子経久。

「謀聖」と言われるほど計略に優れた人物でありながら、「天性無欲正直の人」と評された得体のしれない個性。

そして、東の北条早雲とともに、下剋上大名の代名詞的存在である経久が、旧秩序の破壊を志した本当の狙いとは?


一時は城を追われ、流浪の身となりながらも、山陰、山陽11ヵ国の大大名となった尼子経久の生涯を描く大河歴史小説スタート。

「謀聖 尼子経久伝 青雲の章」の見所

尼子経久の一生を描くシリーズもの

戦国時代初期から中期にかけて、現在の中国地方にあたる地域で活躍した武将・尼子経久。

彼の一生をシリーズもので描く「謀聖 尼子経久伝」の第一作が本書にあたります。

毛利元就や宇喜多直家と並び”中国地方の三大謀将”と称された尼子経久ですが、活躍した時期が戦国時代序盤にあたること、そこまで有名な逸話・合戦がないということで、世間からの認知度はやや低いのではないでしょうか。

簡単に彼の経歴をまとめます。

✔︎ 1458年に誕生。没年は1541年
✔︎ 現在の島根県にあたる「出雲」を中心に勢力を拡大
✔︎ 出雲を始めとした中国地方に力を及ぼし、のちに”11カ国の太守”と称される
✔︎ 下剋上を成し遂げた武将の典型に挙げられ、その手腕から”謀将”との誉が高い武将

元々は出雲国の守護代の家系に生まれながらも、その知略を駆使し、守護である京極氏に打って変わる存在となった有力な武将です。

また、謀に長けていたという特徴を持つことから、同じく知略を駆使して成り上がった武将である毛利元就・宇喜多直家と双璧を成す存在として、”中国地方の三大謀将”とも称された男です。

世間的には高くない知名度ですが、一守護代に過ぎない身分から、最終的には11カ国もの太守に成り上がるといった、ドラマチックな人生を送った武将です。

そんな彼の一生を描くのが本シリーズです。

謀聖と呼ばれる男に成長する経緯

本作では、彼の若かりし頃から、守護代として出雲に基盤を築くまでの青年時代を描きます。

言ってしまえば、今後の作品に繋がるルーツが描かれています。

ということで非常に重要な一作になりますね。

若かりし頃の尼子経久は、故郷の出雲ではなく京都に滞在しており、そこで彼は応仁の乱後の悲惨な現実を目の当たりにします。

一部の裕福な公家や武士達は贅沢三昧を送る中、応仁の乱により荒廃した京で暮らす人々は食べるものにも困る有様。

そんな惨状を目の当たりにした彼が抱いたのは”人々の安寧が叶う世”。

謀聖と称される男からは遥か遠くにある清らかな、瑞々しい若者の姿が描かれています。

そんな彼が、後世では謀聖と称されるようになった訳とは、という謎や期待感に駆られるのが本作です。

本作自体も非常に面白いのですが、次作への期待感が高く持てるというのも、良作と思う所以です。

「天性無欲正直の人」としての側面

本作を読むまでの印象としては、尼子経久 = 謀略でした。

多くの方もそのようなイメージかなと思いますが、その一方で「天性無欲正直の人」として評されるほど善良な行いを働いていた武将であったそうです。

高価な着物を家臣に与えて自身は薄着で冬を過ごしたり、多くの逸話があったようです。

本作でも、その一面は強く描かれており、”人として良き行い”を働く尼子経久に心が温かくなります。

本の基本情報

作品名:謀聖 尼子経久伝 青雲の章
著者:武内涼
出版社:講談社
発売日:2022/1/14
ページ数:656ページ


まとめ

武内涼さんの「謀聖 尼子経久伝 青雲の章」を紹介させていただきました。

次作に期待が持てる非常に面白い一冊となっております。

本記事もお読みいただき、ありがとうございました!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次