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【書評】復讐と恋の葛藤。究極の時代ミステリー【はぐれ鴉】

幼き日に誓った復讐を成し遂げるため、故郷の竹田藩に舞い降りた次郎丸。彼を待ち受けていたのは、変わり者の「はぐれ鴉」だった。次第に明らかになる藩の秘密と一族殺しの陰謀。究極の時代ミステリー小説。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、赤神諒さんの「はぐれ鴉」を紹介させていただきます。

目次

あらすじ

寛文六年、豊後国・竹田藩で城代一族二十四人殺しという凄惨な事件が起きた。

一人逃げ延びた城代の次男・次郎丸は復讐のため、江戸で剣の腕を磨き、名を変え、叔父で下手人である現城代・玉田巧佐衛門がいる竹田の地を十四年ぶりに踏んだ。

長い時を経て再会した巧佐衛門は、兇行を目の当たりにした当時の印象と違い、みすぼらしい容姿で、高位にありながら地位や名誉に関心がない変わり者と周囲から噂されていた。

そして次郎丸は竹田小町と評判の巧佐衛門の娘・英里と出会い、予期せず惹かれていく。恋か復讐か、千々に乱れる心を抱きながらも、煮え滾る復讐心を支えに必ずや叔父を討つと心に誓うのだが……。

「はぐれ鴉」の見所

一族の仇討ちに燃える次郎丸と待ち受ける竹田藩の秘密

私の大好きな作家である赤神諒さんの最新作かつ、初のミステリー時代小説ということで期待に胸を躍らせ読み進めた本書。

率直に”面白い”と思わせた一冊です。過去読んだ赤神諒さんの作品の中でもNo1じゃないかと思うほど。

幼き頃に一族を皆殺しにされた主人公・次郎丸が、力を磨いて復讐のために故郷に帰還、そこで待ち受けていたのは、一族殺しを成し遂げる人物とは思えないほどの善人である仇と、仇の美しき娘である英里、そして一族殺しに秘められた竹田藩の秘密。

このように物語としてはシンプルな構成ですが、赤神諒さんが描く読者が”引き込まれる”登場人物の数々と、物語が進むにつれてページをめくる手が止まらなくなる展開に、読むのを止めたくなくなる一冊です。

精巧に散りばめられた謎の数々

竹田藩に入った次郎丸を待ち受ける数々の奇妙な事象・物語・物品が、この作品の鍵を握っています。

読んでいると、?となることが多いのですが、物語の後半で解き明かされる一族殺しの陰謀と大きく関わっており、まさしく”なるほど”と唸ること間違いなしです。

人を食い殺す「一ツ眼鳥」や、恋する女性に祟りをなす「八尺女」、竹田藩の名産である「姫ダルマ」などの聞きなれないものの数々。さらにお稲荷さんが数多くあったり、美しき女性が歌う呪いの歌など。

これらが後半で一挙に解き明かされる様は爽快の一言。

赤神諒さんの初のミステリー時代小説とのことですが、今後もこっちの路線にも手を伸ばしてもらいたいと思います。

はぐれ鴉(巧佐衛門)の人間性に涙する

作者が本書に秘めたテーマ性である「縁の下の舞」。それは正しく、巧佐衛門の人となりを指しています。

「縁の下の舞」とは、陰暦三月二日に大坂四天王寺の経供養に聖霊院で催された舞楽の称。聖霊院の舞楽が、舞台上ではなく庭で、非公開で演じられたところから、 人が見ていない所でむなしく苦労することのたとえ。

一見幸せ・平和に見える世界は、我々の知らないどこかで誰かが苦労して、犠牲になった上で積み上がった物事であるというメッセージが込められています。

何故彼が一族殺しを担ったのか、一族殺しの汚名を着せられながらも藩のため民のために腐心する理由とは、是非とも本書でお読みいただきたいです。

本の基本情報

作品名:はぐれ鴉
著者:赤神諒
出版社:集英社
発売日:2022/7/5
ページ数:400ページ

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まとめ

赤神諒さんの「はぐれ鴉」を紹介させていただきました。

今までの赤神諒さんの作品の中で一番の良作で、最高の面白いミステリー時代小説となっています。

本記事もお読みいただき、ありがとうございました!

オススメな赤神諒さんの作品は他記事でも紹介しているので、是非ともお読み頂ければと思います!

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