裏切り、将軍襲撃、東大寺大仏殿焼き討ち、数多の罪を犯し、戦国の梟雄と呼ばれた男、松永久秀。今まで抱いていた印象は、この作品で覆されることになる。この世の何たるかを見極めようとした男の一生を描く一作。
「じんかん」ってどんな本?
本の紹介
こんにちは!戦国時代大好きのなごむです!!
本記事では、松永久秀を主人公とした、今村翔吾さん著の「じんかん」を紹介させていただきます。
歴史好きではなくても一度は耳にしたことがあると思う松永久秀ですが、皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか?
松永久秀を語る出来事としては、以下のように悪名につながるものが多く挙げられるため、あまり良いイメージを持たれることは少ないのではないかと思います。
- 主家三好家を乗っ取った
- 当時の将軍である足利義輝を襲撃して殺害した
- 東大寺大仏殿を焼き討ちした
- 主従関係にあった織田信長を二度に渡って裏切った
- 茶器に火薬を詰めて爆死
この「じんかん」は、松永久秀の幼少期から最期までを描いた作品になるのですが、この作品を読み終えた時、きっと今までのイメージが大きく覆るであろう、そんな作品になっております。
あらすじ
民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?時は天正五年(一五七七年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かした時に直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。
基本情報

■作品名
じんかん
■著者
今村翔吾
■出版社
講談社
■発売日
2020/5/27
「じんかん」の見所
松永久秀の生き様
悪名高き将として知られる松永久秀ですが、当作品では「民・仲間を想い、戦った男」として描かれています。
当たり前のことですが、歴史上の人物が実際にどういう人間であったかなんて、誰にもわからないと思います。
もしかしたら、本当に悪名高き男だったのかもしれない、そんな可能性ももちろんあります。
ただ、この作品を読んだ時、これが本当の松永久秀なんじゃないか、とすんなり自分の中に落ちてきました。
それを納得させる生き様が、この一冊には鮮明に描かれています。
又九郎=読者
本作品は、松永久秀視点で描かれるパートと、松永久秀から自身の一生を聞いた織田信長が、その小姓である又九郎に語るパート、という二つの構成に分かれています。
この構成が、読者を引き込む作りとなっているのがとても興味深いです。
物語の冒頭は、安土城にいる織田信長のもとに、松永久秀の裏切りを伝える急報が入ることから始まります。
この時点で又九郎が抱く、松永久秀への印象は、恐らく読者の皆さんと一緒の「悪名高き男」です。
ただ織田信長から、徐々に彼の一生を聞くにつれて、彼への想いは、最初の頃とは全く異なるものとなっていく姿が描かれています。
又九郎=読者となり、読者は織田信長から松永久秀の一生を聞く。
最初に抱いていた「悪名高き男」は「民を想う男」となり、彼の生き様に涙すること違いないです。
まとめ
この作品を読んで思ったことは、「本当の松永久秀を知ってもらいたい」という気持ちでした。
是非とも「じんかん」を手に取っていただけると幸いです!
お読みいただき、ありがとうございました!
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