戦国十二刻シリーズ第二弾。”終わりからの始まり”を痛快に描く一冊。新たな切り口で描かれていく、戦国の”始まり”に唸らされること間違いなしの作品。
こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!
本記事では、木下昌輝さんの「戦国十二刻 始まりのとき」を紹介させていただきます。
あらすじ
守護である土岐頼芸を討たんとする蝮の異名をもつ斎藤道三。
そのもとに土岐一族の重鎮の首を持参したという十兵衛なる侍が現れるのだが……。
秘められた因縁に驚愕必至の「因果の籤」ほか、毛利元就、竹中半兵衛ら名だたる軍師たちの運命を決定づけた二十四時間。
応仁の乱から関ヶ原の合戦へ――戦乱の時代を貫く因果を、大胆な歴史解釈と緻密な構成で活写する全八編!
「戦国十二刻 始まりのとき」の見所
「戦国十二刻」シリーズの第二弾
第一弾をお読みでない方に向けて一応解説をさせていただきます。
「戦国十二刻」と銘打ったシリーズを刊行する木下昌輝さん。戦国のある24時間(=十二刻)を切り取り、一冊にまとめたのがこのシリーズです。第一弾は「戦国十二刻 終わりのとき」という、終わりや死に至る24時間を描いた一冊になっています。
そして本作品は、戦国の世に起きた、ある出来事の始まりに至るまでの24時間を描いた作品となります。始まりや終わりの”24時間”という短い時間に、焦点を当てて物語を構成する手腕が真新しい一冊です。
応仁の乱から大阪の陣までの”始まり”を描く
本作品の帯にも書かれている「死して生まれよ」というメッセージ。その言葉通り、何かが終わるとき何かが始まるという、“終わりからの始まり”に焦点を当てた作品になります。
善阿弥の章であれば、応仁の乱で相国寺が焼亡するまでの物語を描いており、相国寺の焼亡が応仁の乱の始まり、即ち戦国時代の始まりを意味しております。斎藤道三の章であれば、土岐家の滅亡が明智光秀の勃興に繋がり、やがて本能寺の変に至るという筋書き。(あまり詳しく記載するとネタバレになるので割愛します。。)
✔︎ 善阿弥:室町幕府八代将軍足利義政のお抱え庭師。相国寺が焼亡するまでの24時間を描く。
✔︎ 斎藤道三:美濃の大名。主君である土岐家を滅亡させるまでの24時間を描く。
✔︎ 毛利元就:中国地方の大名。厳島合戦に勝利するまでの24時間を描く。
✔︎ 竹中半兵衛:斎藤家家臣。稲葉山城乗っ取りまでの24時間を描く。
✔︎ 島津義弘:薩摩の大名。関ヶ原の戦いにて敵中突破するまでの24時間を描く。
✔︎ 長宗我部盛親:土佐の大名。大阪の陣で、大阪城から脱出するまでの24時間を描く。
全6名の主人公を1章ずつ描く短編集となっており、1章が大体40~50ページほどなので、非常に読みやすい作品になっています。文体も癖がないので、歴史初心者の方にもオススメです。
短いながらも濃厚な物語
全300ページほどで、1章1章もそこまでボリュームがないのでスラっと読めてしまう本作品ですが、中身は非常に濃厚で読み応えがあります。
史実もあれば虚構もあり、作者独自の解釈に唸らされること間違いなしの一冊。
何かの終わりは何かの始まりであるということを改めて感じさせられる一冊になっており、その章で語られない出来事にも繋がるのでは、と思いを馳せながら読んでみるのも面白いです。
例えば毛利元就の章。毛利家と言えば、「天下を望まないように」と子孫に言い伝えという逸話があります。この章でも、元就がそれを言う描写があるのですが、それは何かの”始まり”なのではないかと考えるのも面白いです。
もしかして、関ヶ原の戦いで毛利家が逼塞したのは、この格言があったからではないか。そうなると、徳川家の天下は、この言葉が”始まり”だったのではないか。なんて考えていくのも、この作品の醍醐味ではないでしょうか。
本の基本情報
作品名:戦国十二刻 始まりのとき
著者:木下昌輝
出版社:光文社
発売日:2019/8/21
ページ数:316ページ
まとめ
木下昌輝さんの「戦国十二刻 始まりのとき」を紹介させていただきました。
戦国の”始まり”にフォーカスを当てた新鮮味のある一冊です。
本記事もお読みいただき、ありがとうございました!
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