富樫倫太郎さんが描く軍配シリーズの完結編。長尾家(上杉家)に仕え、宇佐美と名を変えることになった曽我冬之助。神懸かり的な活躍を見せる軍神・上杉謙信の元で魅せる軍配者の働きとは。
こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!
本記事では富樫倫太郎さんの「謙信の軍配者」を紹介させていただきます。
あらすじ
曾我冬之助は新たに宇佐美姓を名乗り、若き長尾景虎(上杉謙信)の軍配者となる。
しかし実際に戦況を支配していたのは「毘沙門天の化身」景虎その人だった。
常識外れの発想で勝ち続ける天才・景虎に、足利学校の兵法は通用するのか?冬之助の旧友・山本勘助が率いる武田軍との攻防が続く―。
「謙信の軍配者」の見所
上杉謙信の魅力的なキャラクター
あんまり上杉謙信を扱う作品を読んでこなかったということもあり、かなり新鮮味のあるキャラクターだなぁというのが感想で、見所の一つになります。
個人的なイメージですが、滅法戦の強い、清廉潔白な寡黙な戦人みたいなイメージだったのですが、本作品の謙信は悪くいうと子供っぽい(笑)
正義心が強いのはイメージ通りですが、理想と異なる現実に打ちひしがれて気を病んだり、偉い人に担がれれると有頂天になって周りが見えなくなったり、戦は強いけど政治は滅法弱かったり、あとは感情が豊かというような描かれ方をしています。
やはり本シリーズで重視されている「人間性」という点がより強く出ているように感じます。
戦は強いけど他は欠点も多いという人間性は、読んでいて心を惹かれるポイントになります。
冬之助の采配が軍神に通用するのか?
主人公の冬之助に関する見所が一つ目に来ないのはどうなんだ?と思われる方もいるはずですが、ハッキリいうと冬之助の活躍は薄いです。
前作、前々作では主人公である風魔小太郎・山本勘助の軍配者としての成長・活躍が強く描かれていましたが、本作品は少し毛色が違います。
仕えた主君の上杉謙信が、何よりも戦が滅法強いという点。そして、足利学校で習ってきた軍配者としての兵法が通用しない奇想天外な戦法を用いつつも、連戦連勝を重ねてしまうという点、この2点が大きく関わってきます。
言ってしまえば、軍配者いなくても勝てる、軍配者の常識が通用しない、ということなんですよね。
ということで、冬之助の活躍も薄くなってしまうのですが、その中でもあることをきっかけに謙信に認められるようになり、軍神の元で軍配者としての力を披露する機会がきます。
もちろん活躍するタイミングはあるのですが、主人公の軍配者の力が発揮されないという展開にヤキモキする読者も多いのではないのでしょうか。
個人的には、その感情を抱いている時点で作品に入り込めているということと思いますので、こちらを見所として挙げさせていただきました。
川中島の戦いの行方
前作の書評でも記載しましたが、「謙信の軍配者」のクライマックスは第四次川中島の戦いとなります。
武田軍・上杉軍が激闘を繰り広げた戦いで、多くの死者を出したと言われています。
そんな名シーンを本作品でどう描いていくのか、特に冬之助と勘助の軍配者としての対決をどう描くのかというのが、読者としては1番気になる点ではないでしょうか。
史実では壮絶な最期を遂げたと言われる山本勘助の運命は?
軍神の元で振るう軍配者・曽我冬之助の采配は?
非常に魅力的なクライマックスが待っているので、是非ともお手によってお読みいただきたいです。
本の基本情報
作品名:謙信の軍配者
著者:富樫倫太郎
出版社:中央公論社
発売日:2014/5/23
ページ数:【上】293ページ【下】297ページ
まとめ
富樫倫太郎さんの「謙信の軍配者」を紹介させていただきました。
非常に魅力的な軍配者シリーズの完結編です。最後の最後まで心躍る名作となっています。
本記事もお読みいただき、ありがとうございました!
当シリーズはこちらでも記事を書いておりますので、お読みいただけると嬉しいです!
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