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【大友二階崩れ】赤神諒が描く”大友サーガ”第一弾 政変の中で貫く義

九州の雄、大友家。お家騒動が巻き起こる中、主君の信頼が厚い重鎮の取った選択とは。一つ誤れば全てを失いかねない戦国の世において、主君への義を貫き通した武将、吉弘鑑理を描く。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、赤神諒さん著「大友二階崩れ」を紹介させていただきます。

家を背負うものとして多くの責任がのしかかる中での苦悩、それでも貫き通す義の尊さを描く、そんな物語になっています。

目次

あらすじ

天文19年(1550年)、九州・豊後(現在の大分県)の戦国大名、大友氏に出来した政変「二階崩れの変」。時の当主・大友義鑑が愛妾の子への世継ぎのため、21歳の長子・義鎮(後の大友宗麟)を廃嫡せんとし、家臣たちが義鑑派と義鎮派に分裂、熾烈なお家騒動へと発展した。謀略、裏切り…揺れる家中での勢力争いに明け暮れる家臣たちの中で、義鑑の腹心にして義鎮の義兄でもある吉弘鑑理は一途に大友家への「義」を貫き、その弟の鑑広は数奇な運命で出逢った姫への「愛」を貫く―乱世に生きる男たちが命を賭して守り抜いたものとは。九州・豊後の戦国大名家に出来したお家騒動、重臣一家を通して骨太に描いた本格歴史小説。第9回日経小説大賞受賞。

「大友二階崩れ」の見所

大友家で起こったお家騒動、「二階崩れの変」が題材

みなさん「二階崩れの変」という出来事は聞いたことありますでしょうか?

歴史好きの方であれば知っている方も多いと思いますが、中々取り扱われることのない出来事なので、多くの方は耳にしたことがないかもしれません。

言ってしまえば戦国の世によくあるお家騒動なのですが、一般的には取り扱われる題材ではないということで、新鮮な気持ちで読むことができます。(個人的にはメジャーなテーマより、マイナーなテーマの方が好きだったりします。笑)

「二階崩れの変」とは、当時の大友家当主・大友義鑑が、正室の子である大友宗麟(義鎮)を次期当主と決めておきながら、側室の子を当主にすべく、大友宗麟を廃嫡させようとしたことに始まる政変です。

本作品では、その政変から始まる騒乱の中で起こる勢力争いを、当主・大友義鑑の信頼厚き重鎮である、吉弘鑑理を中心に描いています。

大友宗麟の肖像画。歴史の授業でも出てくる人物なのでご存知の方も多い方と思います。

誰もが利に走る混乱の中で光る義

混乱に満ちたお家騒動の中で、多くの家臣が岐路に立たされます。

前当主・大友義鑑の陰謀に加担しながら失敗に終わると、保身に走り、新当主に取り入ろうとする者。

前当主から冷遇されていた者は、前当主の信頼厚きものをこれみよがしに叩きに入るなど。

少しでも利を得ようと、裏切り・保身、人の暗い面が浮きぼりになる中で、吉弘鑑理は只一人、前当主への義を貫き通す振る舞いをとり続けます。

少しでも成り上がるべく、血生臭い争いが繰り広げられる戦国の世において、このような武将がいたということは鮮やかに心に残ります。

刻一刻と変わる状況で背負う当主としての責任

「二階崩れの変」では、最終的に当主・大友義鑑が失脚します。

大友義鑑の信頼が厚く、政変に加担してしまっていた吉弘鑑理は、前当主側の存在とみなされ、窮地に追い込まれます。

吉弘家の当主として、家を守る責任と自信が貫く義の境目で起きる葛藤、苦悩が描かれており、吉弘鑑理の心情は読み応えたっぷりです。

本の基本情報

作品名:大友二階崩れ
著者:赤神諒
出版社:日本経済新聞出版社
発売日:2018/2/21
ページ数:282ページ

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