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【書評】自らを殺し、ただただ”本願”を貫く生き様【仁王の本願】

「民の国」を守る。私利私欲を滅し、ただただ”本願”を貫くために戦い続ける。歴史の表舞台に立つことのない本願寺最強の武僧・杉浦玄任の活躍を描く一冊。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、赤神諒さんの「仁王の本願」を紹介させていただきます。

目次

あらすじ

朝倉、上杉、織田が恐れた、本願寺最強の武僧・杉浦玄任。

北陸加賀に「百姓ノ持チタル国」が建てられて八十年。誰の支配も受けず、民衆が自ら治める一向衆の政は、内外の戦に明け暮れるうちいつしか腐敗し、堕落していた。織田信長や上杉謙信、朝倉義景ら強大な外敵に囲まれ、窮地に陥った加賀に現れたのは、「仁王」と呼ばれる本願寺最強の坊官・杉浦玄任。加賀から越前、さらには日本全土に「民の国」を築くため、玄任は救いなき乱世で戦い続ける――。

「仁王の本願」の見所

歴史の表舞台に立つことのない人物が主人公の作品

あまりメジャーではない人物を主人公として起用することが多い赤神諒さん。

他の作品と同様に、本作の主人公「杉浦玄任」もマイナーな人物の一人です。

深く掘り下げられていない人物、聞き覚えがない人物が主人公の作品は、新たな歴史の1ページに出会える気がして、個人的には結構好きなんですよね。笑

赤神諒さんの他の作品では、晩年の朝倉家に仕え沈みゆく主家を必死で守ろうとする武将「山崎吉家」や、九州のジャンル・ダルクと呼ばれ、島津家を撃退し続けた女武将「妙林尼」など、史実にあまり残っていない人物が多く描かれます。

“フィクション9割”を標榜していながら赤神さんの作品には違和感を感じることがないので、その人物を知らないながらも、ズンズンと感情移入していくことが多いです。

赤神さんの作品は、傾向的に幸せな終わり方をする作品があまりないので、それも私の心にグッとくる要因の一つであります。

苦難に苛まれながらも信念を貫き通す”仁王”

本作品の舞台となる加賀(今の石川県)は、”百姓の持たる国”と呼ばれ、大名が国を統治するのではなく、市民により支配されていた特殊な運営形態を誇っておりました。

それを支えていたのが、浄土真宗(一向宗)の一派である本願寺の信徒達を中心とした”加賀一向一揆”たちです。

当時膨大な信徒を誇った本願寺の信徒たちは、死を恐れぬ集団として武士からも恐れられ、強大な勢力を持ち加賀を統治しておりました。

とはいえ、時は戦国。周辺には勢力拡大を続ける織田家や、名門朝倉家、軍神・上杉謙信を中心とした恐るべき戦闘集団の上杉家など、強大な戦力に囲まれ続けておりました。

そこで、百姓の持たる国 = 民の国を守るべく奮闘していたのが本作品の主人公である「杉浦玄任」です。

本願寺の坊官にも関わらず、武芸・戦略に精通した「杉浦玄任」は、亡き想い人との約束を果たすため奮闘しますが、足を引っ張る周りの人々。

己の利益を優先し日和見をするものや、権力に執着し、挙句のはてに味方を敵に売ろうとするものなど。

そんな中でも、ただただ一途に戦い抜く「杉浦玄任」。

彼の清らかな生き方、必死に”本願”を叶えるために戦い抜く姿に心打たれる一冊です。

アクの強いキャストたちの目線からの描写

本作品の特徴として、視点がコロコロ切り替わって話が進むという点があります。

主人公の「杉浦玄任」はもちろんですが、彼の盟友で一本気かつ頼り甲斐のある「鏑木頼信」であったり、謀略の数々を尽くし成り上がろうとする「七里頼周」、玄任の師匠にあたる「下間頼照」、玄任の子である「杉浦又五郎」など。

ここには書き切りませんが、他にもアクの強い面々が揃っており、視点がコロコロ切り替わることで物語が多層的に感じられます。

各々の思惑が行き交う展開に目が離せません。

本の基本情報

作品名:仁王の本願
著者:赤神諒
出版社:KADOKAEA
発売日:2021/12/22
ページ数:320ページ

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まとめ

赤神諒さんの「仁王の本願」を紹介させていただきました。

自らの”本願”を貫き通す仁王の生き方に感動する一冊です。

本記事もお読みいただき、ありがとうございました!

赤神諒さんの作品はこちらでも紹介しているので、是非お読みください!

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