絶対に破られない「最強の盾」と全てを打ち破る「至高の矛」の激突。同じ理想を掲げながらも自らの誇りに賭け、戦いに身を投じる男たち。戦国の世に生きる職人たちの矜持が熱い一冊。

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!
本記事では今村翔吾さんの「塞王の盾」を紹介させていただきます。
あらすじ
どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。
秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。
大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。
「塞王の盾」の見所
石垣職人「穴太衆」を取り扱ったユニークな一冊
本を手に取った率直な気持ちは”着眼点が面白い”という点。
数多の戦国武将や彼らが熱き戦いを繰り広げた合戦を描く作者は数知れず、戦国の世に生きる技術職人を描いた一冊には出会うことが少なかったため、この感想を抱きました。
戦国の技術職人で有名なのは、鉄砲職人の「根来衆」や「伊賀・甲賀忍者」など、ここら辺は文句なしの知名度を誇ることでしょう。
そんな中で本作品の主人公として描かれるのは、城の石垣を造ることを生業とする「穴太衆」を題材にしています。
非常にユニークなテーマであり、一風変わった題材のため、500ページを超える大作ながらも、新鮮味を感じながらサクサク読み進めることができます。
最強の盾と至高の矛の激闘
穴太衆の「匡介」は、幼い頃落城により家族を失った経験から、”絶対に破られない石垣”を世に広めることで、太平の世を築くことを理想に掲げておりました。
守るものがいれば攻めるものもいるのが戦国の世。
彼のライバルにあたる、鉄砲職人国友衆の「彦九郎」は、”どんな城でも落とせる砲”を作ることで、戦のない世を作ろうとしていました。
理想の行き着く先は同じながらも、自らの生業によって選択肢が異なる二人。
“絶対に破られない石垣 = 最強の盾”と”どんな城でも落とせる砲 = 至高の矛”、いわば「矛盾」の激突が本作品の最大の見どころです。
武器に対して対策を講じ、どうしても受け身になってしまう「盾」。
圧倒的に不利な状況の中、幼い頃に抱いた恐怖を世から消し去るために「至高の矛」へ挑む「匡介」の活躍は、非常にドラマチックであり、手に汗握る作品のなっています。
今村翔吾ワールドに魅せられる
個人的に好きな作家の一人である今村翔吾さん。
戦国の大悪人と呼ばれた松永久秀を、通説とはガラリと変わった人物像で描き切った一冊「じんかん」。
石田三成を主人公に据えながら、個性豊かな賤ヶ岳七本槍の面々を上手く絡ませて、小説のテーマとしてはありふれた関ヶ原の戦いを描いた「八本目の槍」。
これらの作品など、通説を覆す視線で描く作品が面白い作家さんです。
他の作品に抱いた思いは変わらず、本作品も非常に良書となっており、多くの方に勧めたくなる一冊です。
つい最近、今村翔吾さんにより新たな作品が刊行されたようで、思わずポチってしまいました。笑
真田幸村を討とうとする男たちの思惑が交錯する一冊のようで、今からワクワクが止まりません。
読み終えたら是非とも書評を書かせていただこうと思います。




本の基本情報
作品名:塞王の盾
著者:今村翔吾
出版社:集英社
発売日:2021/10/26
ページ数:560ページ
まとめ
今村翔吾さんの「塞王の盾」を紹介させていただきました。
非常にユニークな題材を扱いつつも、読者を置き去りにせずサクサクと読み進められ、熱中度の高い作品で大変オススメです。
本記事もお読みいただき、ありがとうございました!
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