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【戦国十二刻 終わりのとき】木下昌輝 死の直前24時間に焦点を当てた作品

死の直前24時間を濃密に描く一冊。6人の武将それぞれが過ごした最後の24時間。独自解釈を交えた書きっぷりで、スラスラ読んでしまう非常に面白い作品。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きな、なごむです!

本記事では、木下昌輝さんの「戦国十二刻 終わりのとき」を紹介させていただきます。

目次

あらすじ

大坂夏の陣。劣勢に立つ豊臣秀頼は、一縷の望みをかけ自ら出陣することを決意する。だが、母の淀殿はそれを頑なに阻むのだった―。

衝撃の結末に息を呑む珠玉の傑作「お拾い様」ほか、山本勘助、今川義元、徳川家康ら名高き武将たちが死を迎える最期の二十四時間を、濃密に描く全六編を収録する。斬新な歴史解釈と鮮やかなどんでん返しに彩られた奇跡の作品集。

「戦国十二刻 終わりのとき 」の見所

死の直前24時間に焦点を当てた作品

何よりも着眼点が面白いと思うのがこちらの作品。

タイトルにもあるように、各人物の終わりの十二刻(=24時間)を描いている。死までの24時間が着々と減っていく中で、どのようなエンディングを迎えるかが興味深いという構成。

歴史上の出来事を取り扱う時代小説は、ある意味ネタバレしているという状態。どういうオチになるかは、大体想像がついている読者も多いはず。そんな中、こちらの作品は独自解釈を交えた真新しさがあるので面白い作品になっている。

それなりに歴史小説を読んできたと自負している私だが、「おぉ、こうくるか」という感慨を得た。しかも、その描き方に違和感がなく、スッと入り込めるのが良いポイント。

全6編の短編集でスラスラと読める

260ページほどの作品の中で、6人の武将を一人一人主人公に仕立てた6編の短編集になっている。1章が40ページ前後ぐらいなので、非常にコンパクトだが、読み応えは十分。一章一章が短い分、間延びせずに凝縮されている印象がある。

収録されている武将は、豊臣秀頼・伊達政宗・今川義元・山本勘助・足利義輝・徳川家康の6名。どれも、終わりや死が印象的な武将のため、自分の想像する終わりと照らし合わせて読んでみるのも面白い。

ミステリーとちょっとしたホラー要素も絡んで濃密な一冊になっている

「宇喜多の捨て嫁」を始め、ゾッとする怖さやアッとする謎掛けを仕組んでいてるという印象の木下昌輝さん。当ブログでも紹介させて頂いた、「孤剣の涯て」もその象徴。

本作品も短編集ながらしっかりとその要素を受け継いているという印象がある。1章40ページ足らずという中で、張った伏線をしっかりとその章で回収していく構成。1章1章は短いながらも、それぞれの質が高いため、非常に濃密な一冊になっている。

個人的には、豊臣秀頼を主人公にした「お拾い様」が特に面白かった。ネタバレになるので記載は少し控えるが、秀頼の幼名である”お拾い”という名前の由来と、何故淀殿が秀頼を戦場に出さなかったのかという二点が結びつくエンディング。他の作品には無い解釈で、いきなりこの作品に引き込まれることとなった章。

本の基本情報

作品名:戦国十二刻 終わりのとき
著者:木下昌輝
出版社:光文社
発売日:2019/7/11
ページ数:270ページ


まとめ

木下昌輝さんの「戦国十二刻 終わりのとき」を紹介させていただきました。

終わりの24時間に焦点を当てるという風変わりな観点が面白い作品です。

本記事もお読みいただき、ありがとうございました!

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