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【書評】遥かに期待値を超えるミステリー歴史忍者小説【神遊の城】

応仁の乱末期における忍びの活躍を描く赤神諒さんの作品。忍者×ミステリー×ファンタジー×恋愛のエンタメ要素が強い一冊。序盤と終盤で印象が全く異なり、遥かに期待値を超えること間違いなし。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では赤神諒さんの「神遊の城」を紹介させていただきます。

目次

あらすじ

応仁の乱末期、若き甲賀忍者・三郎兵衛は細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭う。

10年後、将軍義尚が六角氏征伐で湖南の鈎に陣を敷いた。

三郎兵衛改め新蔵人は復仇のため、異父妹のお喬らと夜襲をかけるも失敗。新蔵人はお喬の目の前で爆死する。書下ろし新エンタメ歴史小説!

「神遊の城」の見所

応仁の乱を舞台にした甲賀忍者の物語

本作品は、応仁の乱末期に、細川勝元率いる東軍に敵対した甲賀の忍び「三雲新蔵人」を主人公として描かれています。

三雲氏とは、近江の大名である「六角氏」の麾下に属する武士の一族のようですが、史実としての詳しい情報は出てこないため、ほぼ創作として読み進めていただくのが良いと思います。

そんな三雲氏を忍びの集団として描き、その中でも甲賀一の忍びとして謳われる「三雲新蔵人」の活躍を取り扱っています。

本作品では、そんな忍びの戦いというありきたりなテーマを全面に押し出しているわけではないというのがポイント。

一見、忍びバトルかなというノリで読み進めると度肝を抜かれます。

一筋縄ではいかない細川軍との闘争と、タイトルにもなっている「神遊観」という忍びの秘技を解き明かしていくというミステリー要素。

そして、爽やかかつ儚い恋愛要素も散りばめられているというエンタメ要素の強い作品です。

何度も読み返したい作品

私は一度読んだ小説を繰り返し読むこと基本しないのですが、本作品は例外でした。

後半に進むにつれて解き明かされる前半の伏線・謎がスカッとしすぎて、もう一度読み返してみたいと思う、そんな作品です。

前半は割とスローテンポで進むのと、初見では謎が多い伏線もあるので中々テンポが上がりきらないながらも、後半は怒涛の勢いでクライマックスにひた走る本作品。

正直、ありきたりな忍者小説という期待値からはかけ離れた面白さを誇る作品でした。

感動的な結末に涙

赤神さんの作品では結構このコメントを使うことが多いんですよね、、笑

若干ネタバレになるので詳しいことは控えますが、赤神さんの他作品と同様に本作品も感動的な結末を迎えます。

最終章は本当に涙を誘う描きっぷりで、私は虜になって同じシーンを何度も読み返してしまいました。

没入感のある作品を多く描かれるという印象が強い作者で、人々の心理描写を描くこと、情景をイメージさせるという2点に長けているから、こんなに作品にのめり込めるのかなと感じています。

特に好きな一説はこちらです。

夕菅を見ると、どこか物哀しく思うのは、夏の終わりの夕風に、秋の匂いが混じり始めたせいだろうか

本書 p400より

作品の中でも度々出てくる「夕菅」という花を、ある人に見立てて心情を想像させる感動的な一説になっています。

こちらも赤神さんの感動的な作品になっているので、よろしければ合わせてお読みください!

本の基本情報

作品名:神遊の城
著者:赤神諒
出版社:講談社文庫
発売日:2018/12/14
ページ数:416ページ

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まとめ

赤神諒さんの「神遊の城」を紹介させていただきました。

ファンタジー・ミステリー・恋愛と、いろいろな要素が盛り込まれたエンタメ色の強い面白い作品となっています。

本記事もお読みいただき、ありがとうございました!!

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