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【謙信越山】乃至政彦 義将・上杉謙信が山を越えた先に求めたもの

謎多き武将・上杉謙信。越後から道なき山を越え、度々関東に繰り出した彼の思惑とは。通説に囚われない目線で描かれる、越後・関東を巻き込んだ騒乱の真相を描く一冊。“越山”に込められた想いは如何に。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、乃至政彦さんの「謙信越山」を紹介させていただきます。

上杉謙信が行った“越山”の真相を解き明かすという、非常にユニークで、読み応え抜群な一冊になっています。

目次

あらすじ

群雄割拠の戦国時代、常に戦に勝利し、戦国最強と謳われる武将・上杉謙信。
彼は越後から関東へ「十数回」の遠征を繰り返した。この遠征は「越山(えつざん)」とも呼ばれ、険しい山々を越えたことから、この呼び名が定着した。
越山は謙信が31歳から15年ほど続けられ、49歳の時、最後となる越山計画の出陣前に倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
謙信はなぜ、エネルギーの多くを越山に費やしたのだろうか。
越山の真相とともに、武田信玄、北条氏康ら同時代を駆け抜けた武将らの活躍も網羅した、関東戦国史の幕が開く。

「謙信越山」の見所

越後から関東へ山を越える、“越山”に焦点を当てたユニークな一冊

本書の主役である上杉謙信といえば、戦国武将の中でも相当有名かつ人気のある武将です。

織田信長も恐れたほどの圧倒的な武力を持ち、軍神とも称されるほど。

戦国最強の騎馬隊を保持する武田信玄とライバル関係にあり、ドラマ性のある戦いを繰り広げること数度。

武勇に優れながらも、義を貫き、私利私欲のために戦わないなど、誉高い一面を持つ。

華々しい姿もありながら、謎多き武将と言われており、典型的なのは“上杉謙信女性説“ですね。生涯女性との関係を持たなかったとか、色々女性説に繋がる面があるのですが、正しいことはわかっていません。

そんな謎多き上杉謙信の中でも、本書で取り上げているのが、越後から関東に遠征を行う“越山”です。

なんでも、上杉謙信は生涯で、十数回の“越山”を行ったのだとか。

今とは違い、道なき険しい山を越え、関東に出陣するのは相当な苦労があったはず。ただ、そんな苦労に見合った利益を得ていないというのが“越山”の実情です。

利益もないのに、何故十数回も“越山”を繰り返したのか?歴史愛好家の中でも議論されるこのテーマを解き明かすのが、本書の主題になります。

日の目を浴びない関東諸将にもスポットが当てられている

戦国武将、と言われて思い浮かべる武将は誰になるでしょうか。

織田信長?豊臣秀吉?徳川家康?色々いると思いますが、関東で根を張った武将が語れることって、思いの外少ないですよね。あって、北条氏康とかそれぐらいかと。(もっと遡れば太田道灌とか)

関東在住の私にとっては何と口惜しいことか。。

時々西日本とかに旅行して思うのは、歴史的名所・歴史上の人物に纏わる場所が多いなぁと。いつも羨ましく思っています。

前置きはさておき、、関東諸将って有名な人が少ないんですよね。中々書籍でも取り上げられないです。

そんな中でも本書では、里見氏や太田氏など、関東諸将で比較的有名なところから、初めて聞いたような武将まで取り上げられており、新鮮な気持ちで読むことができます。

上杉謙信の“越山”を通じて、ザックリと一通り関東の騒乱を学ぶことができるので、中々取り上げられることのない武将・戦いを学びたい方にはうってつけです。

歴史を覗く目を改めて問われる

本書の著者、乃至政彦さんはこう記しています。

私はいつも歴史が好きな方々に、自分の目を信じて欲しいと思っている。
〜略〜

歴史に触れた時、伝説の虚実を見極めたい、過去の人を真っ当に評価したいと思ったことがあるはずだ。人間の本質を見定めようと思ったら、世評に惑わされないため、他人の主観を見抜く意思、そしてそれを取捨選択する能力が必要となる。

本書79ページより

私はこの言葉が心に響きました。

本書が、通説に疑問を持ち、各所から集めた情報を元に再定義するという流れになっているのもありますが、やはり歴史を鵜呑みにしない、自分の目を信じる力が必要ではないかと、改めて思いました。

私が歴史小説が好きな理由の一つに、“同じ人物でも違う人に出会えるから“というものがあります。

ベーシックに語られている、ある武将の性格が、他の書籍では180度逆転、なんてことも面白い要素の一つだと思います。

多くの書籍を読み、多くの人物に触れることで、新たな人物像を再構築していく、それが歴史小説の面白さだと、そう感じています。

本の基本情報

作品名:謙信越山
著者:乃至政彦
出版社:ワニブックス社
発売日:2021/2/25
ページ数:295ページ

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