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【銀閣の人】門井慶喜 苦難の将軍が築く“日本の美”の始まりとは

誰でも一度は耳にしたことがあろう“銀閣寺“。その質素な見た目に込められた造り手の思いとは。政治を捨てて、文化を取った将軍足利義政。彼が力を注いだ一大プロジェクトを描く一冊。

なごむ

こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!

本記事では、門井慶喜さんの「銀閣の人」を紹介させていただきます!

目次

あらすじ


「日本の美」の源流をたどればそこに彼がいる。応仁の乱のさなか彼が構想した東山殿(銀閣)は、当代一流の才能を結集した一大文化プロジェクトだった。乱世にあって政治に背を向け、己の美意識を追求した室町幕府八代将軍・足利義政の理想と苦悩を直木賞作家が描き切る歴史長編小説。

「銀閣の人」の見所

室町時代の一大文化プロジェクト、”銀閣寺建設”の裏側

本書のタイトルにもなっている”銀閣寺”は、歴史の授業を通じて誰しも耳にしたことがあると思います。

合わせて習うであろう”金閣寺”と比べると、なんとも質素な、、という印象を抱いたのではないでしょうか。

“金”の名を冠し、それに相応しい姿の”金閣寺”。

“銀という名を冠しながらも、普通の建物と変わらない造りの”銀閣寺”。

およその人が抱いているイメージは、そんなものではないかと思います。
(かくいう私もそんなところでした、、笑)

本書では、そんな質素な”銀閣寺”の建設に至るまでの過程が描かれています。

人や合戦に焦点を当てる作品は多くありますが、本書のように”文化”や”芸術”に焦点を当てる作品はそう多くないと思いますので、新鮮味のある気持ちで読み進めることができます。

東山文化の創造者、足利義政の評価

銀閣寺を建設し、東山文化を創造した室町幕府8代将軍足利義政。

後世に語られる彼の評価は、いったいどのようなものなのでしょうか。

天下の大乱”応仁の乱“を引き起こした人物と評されたり、政治から離れ、芸術にうつつを抜かして、部門の頭領としては相応しくない人物と評されたり。

政治面では、およそ優れた人物とは言えなかったのかもしれません。

反面、現在の世にも根付く、日本風の住み方・近代和風建築様式を生み出したのも足利義政に他なりません。

“床の間“など、今の世のスタンダードになり得た建築様式の原点が銀閣寺における“東求堂”です。

幼き頃に父を暗殺され、政治でも優れた功績を残せずとも文化で名を残した足利義政。

「文化の力で、政治に勝つ」と言い放った彼の生き様を色濃く描いています。

侘び・寂びとは

“侘び・寂びとは、貧粗・不足のなかに心の充足をみいだそうとする意識。閑寂ななかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさをいう。“
Wikipediaより

日本の哲学、美意識にも根付く“侘び・寂び“

足利義政の気づいた“東山文化”の根幹ともなるこの思想が体現されたのが“銀閣寺・東求堂“です。

この一冊では“銀閣寺・東求堂”がこの思想を持って造られた背景を窺い知ることができます。

何気なく知っていた“侘び・寂び“ですが、日本人の哲学・美意識につながるこの思想をより深く理解することができます。

ものや情報で溢れた現代社会、そんな中でこそ知っておきたい“不足の美“。

足利義政が込めた想いが現されています。

本の基本情報

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銀閣の人 [ 門井 慶喜 ]
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作品名:銀閣の人
著者:門井慶喜
出版社:KADOKAWA
発売日:2020/9/2
ページ数:432ページ

まとめ

本記事では、門井慶喜さんの「銀閣の人」を紹介させていただきました!

“文化“に焦点を当てたこの作品ですが、日本の美意識に根付く“侘び・寂び“であったり、現在の日本風家屋の建築様式の基準ともなる原点を描く、そんな作品となっています。

“金閣寺“と比べて地味な印象を持たれがちな“銀閣寺“ですが、この一冊を読めば、そこに込められた足利義政の思いや、現在の世につながる意識を見出せると思います。

私自身も、この一冊を読んで早く“銀閣寺“に足を運んでみたくなりました!

物語最終章で描かれる一幕を、私も感じることができるのでしょうか。
(ネタバレになるので詳細は記載しませんが、、)

知ることで楽しみが増えることを理解できた一冊だと思いますので、是非とも皆さんにもお手にとっていただきたいです!

今回もお読みいただき、ありがとうございました!!

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