“三木の干殺し“と呼ばれた三木城合戦。兵糧が尽きた城内では、繰り広げられる壮絶な物語。絶望が襲いかかる中でも生き抜こうとする人々。華々しい戦いの裏に潜む陰を描く一冊。
こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!
本記事では、天野純希さんの「もろびとの空 三木城合戦記」を紹介させていただきます。
あらすじ
この戦いは、「勇壮」なのか?
戦国末期、三木城当主の別所長治は、信長に反旗を翻す。
織田勢を率いる秀吉の猛攻に耐え、籠城戦が続くなか、飢えに苦しむ領民は、究極の選択へと追い込まれ……
米十俵のために握った薙刀で、家族を守るため、戦う覚悟を決める娘。
「死に損ない」と罵られ、次こそ死のうと、敵軍を斬りつづける武士。
「女らしさ」の呪縛に悩みながら、女武者組の指揮を執る別所家の妻。
華々しい合戦絵巻の裏側に存在した、ひたむきな生の物語。
「もろびとの空 三木城合戦記」の見所
魅力的な作品を多数執筆される天野純希さんの最新作
1979(昭和54)年、愛知県名古屋市生れ。2007(平成19)年、『桃山ビート・トライブ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年、『破天の剣』で中山義秀文学賞を、2019年、『雑賀のいくさ姫』で日本歴史時代作家協会賞作品賞を受賞。他の著書に『青嵐の譜』『南海の翼 長宗我部元親正伝』『戊辰繚乱』『信長 暁の魔王』『覇道の槍』『北天に楽土あり 最上義光伝』『蝮の孫』『燕雀の夢』『信長嫌い』『有楽斎の戦』『もののふの国』などがある。
新潮社 公式HP 天野純希さんプロフィール より
本作品は、数々の魅力的な時代小説を執筆されてきた天野純希さんの最新作になります。
私は天野さんの作品が好きで、いくつか読ませていただいたのですが、“読ませる“・“引き込ませる“作品を描く作家さんという印象で、どの作品も熱中して読まさせていただいております。
本作品も例に漏れず、ページを捲る手が止まらないほど熱中できる、非常に良質な作品となっており、大変オススメです。
個人的には、島津家四兄弟の末弟・島津家久を主人公にした、“破天の剣“が1番好きな作品でした。が、本作品はそれに勝るとも劣らない、とっても面白い作品になっています。
“破天の剣“は、こちらでも紹介しておりますので、興味がある方はチェックいただけると嬉しいです!!
“三木の干殺し“を描く一冊
“三木の干殺し“とも呼ばれる、三木城合戦。
歴史好きの方には有名な戦いですが、作品として取り上げられることはあまりないと思いますので、このような一冊に巡り会えて、私は嬉しく感じました。
ご存知でない方に向けて、“三木の干殺し“とは何かをサラッとご説明させていただきます。
- 播磨の雄・別所氏と、毛利氏討伐を狙う織田家・羽柴秀吉との間で繰り広げられた戦い
- 領内の農民を含めて、総篭り(戦闘兵力以外も含めての籠城)を行った別所氏を、羽柴方は長期にわたる包囲戦で攻略
- 毛利氏の救援が滞り、やがて兵糧不足に陥った別所氏は壮絶な籠城戦を行うこととなった
といった感じで、三木城攻略を巡って争われた籠城戦のことを指しています。
籠城戦といえば、戦国の世にはありきたりな戦いでしたが、この戦いは非常に残酷な結果を招きました。
領民全てを城内に引き入れての籠城ということで、兵糧の減りは早くなります。頼みとしていた毛利氏の救援も、羽柴方に妨害されることで、兵糧の補給は望ません。
羽柴方の徹底的な包囲網により、やがて城内の兵糧は枯渇、草や木までを食べ尽くし、そこには待っていたのは地獄絵図のような光景であったと言われています。
華々しさの裏側にある壮絶な物語
本書を読んで、華々しい戦いにの裏側には、それだけ壮絶な陰がある、ということを改めて認識することとなりました。
三木城合戦の特徴的な一面として、“領民を巻き込んだ籠城戦“という点があります。
領主の意地で始まった一戦により、今まで何ともなしに生きていた領民が巻き添えを喰らう。
武士の勝手によって命を落とす領民の人々。
それらは全て、華々しさの裏にある陰です。
この一面にフォーカスを当てた当作品は、非常にリアリティある一冊ではないでしょうか。
華々しい合戦だけを見るのではなく、その裏に潜んでいる物語まで味わう、そこまで踏み込んだ作品を描いた天野さんの力量は、やはり素晴らしいものだと感服いたしました、、
より世界観に引き込む目を覆いたくなるような表現
結構表現が生々しいです。
詳細は割愛しますが、兵糧が尽きた人々は生き抜くために“ある行動”を起こします。
それはかなり残酷なことであり、今の私たちからは考えられません。
ただ、それはフィクションではなく、本当にあった出来事なんだと、私はそう思います。
三木城合戦という残酷な一戦の世界観に引き込まれる、パワーある作品です。
きっと読む手が止まることもあるでしょう。ただ、必死に生き抜く人々の思いを感じて、涙なしでは読み進められない、そんな素晴らしい一冊を、是非ともお手に取っていただきたいです。
本の基本情報
作品名:もろびとの空 三木城合戦記
著者:天野純希
出版社:集英社
発売日:2021/1/26
ページ数:344ページ
まとめ
本記事では、天野純希さんの「もろびとの空 三木城合戦記」を紹介させていただきました!
私の大好きな作家さんであり、天野さんの作品の中でも1、2を争うほどの良書と感じた作品になります。
是非ともお手に取っていただけると嬉しいです!!
本記事もお読みいただき、ありがとうございました!
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