かつて栄華を誇った花の都・京都を崩壊させた応仁の乱。約11年に亘る壮絶な内乱の中で宿敵への復讐に駆り立てられる男・骨皮道賢。地獄の様相を呈する中でも爽快感を感じさせる一冊。
こんにちは!
歴史小説大好きななごむです!
本記事では、朝松健さんの「血と炎の京 私本・応仁の乱」を紹介させていただきます。
戦国時代の小説を中心に読む私にとっては、非常に新鮮な物語で、ワクワクしながら読み進めてしまいました!
壮絶な戦いの中に秘められる爽快感を是非とも味わっていただきたいです。
あらすじ
応仁の乱――それは地獄の戦さだった。
かつて栄華を誇った都は燃え落ち、縦横に走る塹壕に切り刻まれ、泥と屍に覆いつくされた。連なる屋敷は高い土壁に守られて砦と化して、中枢は地下の壕内に設けられた。日が沈めば夜襲が行なわれ、矢が飛び交い、兵どもは無造作に殺されてゆく。そこにあったのはあたかも近代戦争のごとき総力戦、終わりの見えぬ中で人間がひたすら消費されてゆく戦だった。
行軍中に東軍・細川勝元が拾った瀕死の男。額に「犬」の文字の刻まれた男は、西軍の山名宗全に虐殺された集落の生き残りだった。男は宗全への憎悪を胸に、地獄の戦場に血路を切り開く。しかし敵方には中国渡りの最新兵器たる投石器を駆使する軍師がおり、苦戦を強いられる。一方、この大戦さの中にあって、これを収拾しようという姿勢もみせぬ将軍・足利義政の妻・日野富子は、渇いた心の救いを希い、戦火のなかを蓮如に面会すべく動き出そうとしていた。
京を灰燼に帰した応仁の乱とはいかなる戦争であったのか。その血みどろの風景を壮絶に描きつくす書き下ろし歴史伝奇小説。
「血と炎の京 私本・応仁の乱」の見所
血生臭さを感じさせるリアルな騒乱を描く
応仁の乱とは、管領家である畠山氏と斯波氏の家督争いを起点とし、足利幕府将軍家、山名家・細川家といった有力守護大名を巻き込んで、京を舞台に約11年間巻きこった内乱です。
日本を二分した大規模な騒乱であることや、戦国時代のきっかけとなったとか、それぐらいのお話は中高での授業でも出てきたかなと思います。
本書では、その“応仁の乱”の中で一族を滅ぼされた男・骨皮道賢が、西軍の首領である山名宗全に復讐を挑む、そんな物語になっています。
復讐に至るまでには、東軍・西軍の激しい攻防がリアリティある書きっぷりで描かれていくのですが、これがまた生々しいもので、思わず目を背けたくなるような、そんな表現で描かれています。
京の市街を舞台に戦ったということで、建築物への放火・破壊、略奪や暴行など、京市民へも甚大な影響を及ぼしていたのが応仁の乱です。
そんなリアルを描き切った朝松さんは流石、、と思いました。
骨皮道賢一味の活躍が爽快感たっぷりで描かれる
山名宗全に一族を滅ぼされた骨皮道賢は、あることをきっかけに東軍に拾われます。
やがて東軍の足軽組の“豺狼組“の一員として活動することになるのですが、この“豺狼組”の面々が個性豊かで、まるで戦隊モノ・スーパーヒーローのような爽快感溢れる活躍を発揮します。
怪力の“岩熊“や弓使いの“矢兵衛“、棒手裏剣使いの“十歩“など、、
各々が異なる武器の使い手で、道賢と共に西軍に立ち向かう姿は、なんとも言えぬワクワク感を感じさせてくれます。
全体的に暗く血生臭い描写が多い一冊に、鮮やかな爽快感ある描写を吹き込んでくれる、そんなキーパーソンです。
映画で見たい迫力のある戦闘シーンの数々
本書では、数々の戦闘シーンが描かれていますが、どれも迫力たっぷりで映画やドラマで見たくなる、そんな描写が多いです。
少なくとも、文章でここまで鮮明なシーンをイメージさせる朝松さんの力量に感銘を受けます、、
特に印象に残るのは、“霹靂車“という投石機を西軍が投入してくるシーンです。
※霹靂車のイメージや概略は以下を参照。
紀元前にもすでに使用されていたようですが、(本書の書きっぷりでは)日本では応仁の乱の時代まで周知される兵器ではなかったようで、西軍がこの兵器を用いることで、東軍は絶望感を味わうことになります。
京という狭い範囲で行われた騒乱の中で、見たこともない兵器から発射される巨大な石が頭上を飛び交う恐怖、、リアリティがありました。。
本の基本情報
作品名:血と炎の京 私本・応仁の乱
著者:朝松健
出版社:文藝春秋
発売日:2020/12/8
ページ数:428ページ
まとめ
本記事では、朝松健さんの「血と炎の京 私本・応仁の乱」を紹介させていただきました!
戦闘シーンや情景の描写など、とてもリアリティある表現で描かれており、世界観に強く引き込まれる作品でした。
本記事もお読みいただき、ありがとうございました!
戦闘シーンはないですが、リアリティある近しい作品は以下もオススメですので、合わせてお読みいただけると嬉しいです。
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