桶狭間の戦いで織田信長に討ち取られた暗愚な将、今川義元。京にかぶれ、武家としての誇りを失った男。そんな従来の今川義元像を覆す、「海道一の弓取り」と呼ばれた英雄の姿を描いた一冊。
こんにちは!歴史小説好きのなごむです!
本記事では、高橋直樹さん著の「駿風の人」を紹介させていただきます!
「駿風の人」ってどんな本?
本の紹介
従来の今川義元像とはいかなるものか
本作品の主人公となる今川義元ですが、みなさんどのようなイメージを抱いているでしょうか?
有名なのはやはり、桶狭間の戦いで織田信長に奇襲されて、討ち取られたという事実に基づく負のイメージではないでしょうか。
特に、桶狭間の戦い時点での今川家と織田家の国力には大きな力関係があり、圧倒的に今川家有利という状況でした。
そんな状況の中、地勢的にも不利な桶狭間で昼食をとっている間に奇襲されたということもあり、暗愚な将としてのイメージが濃いと思います。
また、桶狭間の戦いの際は、馬ではなく輿に乗っていたとされ、太っていて馬に乗れなかった、武芸を怠っていたなどのマイナスイメージに繋がると思います。
英雄としての今川義元が描かれている
本書では、このような負のイメージを覆すような姿が描かれています。
近年の研究では、今まで伝えられてきた事実が、実はそうではなかったという見方をされているものも多く、評価が覆ってきているようです。
世間一般で伝えられてきた、学校などで教えらてきた歴史と異なる見方ができる一冊となっております!
あらすじ
花倉の乱に勝利し、今川家当主となった義元。「天下に名乗りを上げる」。義元の想いは今川発祥の地・三河と経済の中心地・尾張へ。背後の武田と北条に対して、参謀・雪斎と共に苦心の末に戦国最強の甲相駿三国同盟を成し遂げる。いよいよ西へ出陣。その前に織田信長と木下藤吉郎が待ち構える―!貴族化して時代に乗れなかった敗者、そんなイメージを覆す「戦国武将」今川義元の新たな物語!
基本情報
■作品名
駿風の人
■著者
高橋直樹
■出版社
潮出版社
■発売日
2019/6/5
■ページ数
328ページ
「駿風の人」の見所
従来と異なる今川義元像が描かれている
本書の一番の見所としては、やはり新鮮な今川義元像が描かれている点です。
暗愚な将として語られがちな今川義元ですが、私の中では低評価ということはありませんでした。
私が元々持っていたポイントと、近しい様が描かれており、英雄としての今川義元と出会える本作は一読の価値ありです!!
広大な領土を保有する力
特に今川義元が活躍した1560年前ごろでは、本拠となる東海地方近辺で武田、北条など有力な大名が存在しておりました。その中で版図を維持し、拡大しようとしたことが、優秀な将であることを物語っていると思います。
当時は、駿河・遠江に加え、三河・尾張の一部まで勢力を広げていたということで、そこまでの領土を保有できる力が備わっていたと思います。
海道一の弓取りとの異名を持つ
当時、今川義元は「海道一の弓取り」との異名を持っておりました。
弓取り=武士という意味を指し、すなわち「東海道で一番の武士」という評価を受けていたことを表しております。
公家文化の保護
今川義元は公家文化の保護にも熱心であったとされており、今川家の領国では、京都から逃れてきた公家が保護されておりました。
元々今川家は足利家の一門に連なる名門でありましたので、蹴鞠や和歌などへの関心も高かったと思いますが、公家を保護することで発生する費用などを考えても負担にはなると思うので、それだけ国力が高かったことを示していると思います。
ゆくゆくは上洛していくことを考えた上で、公家の保護を行っていたとすれば、それだけ先見の明があると思います。
今川義元の一生を学べる貴重な一冊
今川義元の一生を描いた一冊と出会ったことがなかったので、本書は貴重な作品だと思います。
織田信長を描いた作品や、武田信玄を描いた作品などで取り扱われることはありますが、基本的には引き立て役としての位置付けです。
本作品のように、花倉の乱から始まる今川家の家督相続から桶狭間の戦いまで、一生を描いている作品というのは大変貴重だと思います。
まとめ
今川義元を主人公にして、かつ既存のイメージを覆してくれる、そんな貴重な作品になっております。
一読の価値ありですので、是非お読みいただきたいです!!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!
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